花屋と言う仕事をしていると当たり前だけど
お客様は常にフレッシュなお花を求められるので
枯れゆく花、枯れた花とは縁が薄い。
それに枯れた花はエチレンガスが発生して
老化ホルモンを分泌させて
周りのお花の枯れも促進させると言う。
しかしながら長い歳月お花と向き合っていると
花が朽ちていく美しさもあると言う事が分かる。
そして昔の日本人はその朽ちていく美しさも
愛でていたと思われるのが「花の終わり」を
表現する言葉が「枯れる」だけではないと言う事。
まず桜、、、これには皆さんご存知の通り
「散る」と言う表現が用いられる。
そして梅はポロポロと落ちていくことから「こぼれる」。
椿は花がポトリと落ちるので「落ちる」。
牡丹や芍薬は花びらが一枚づつ一気に散るので「崩れる」。
菊は枯れると花弁が垂れ
その垂れた花弁が風に吹かれる様子が
まるで舞ってるように見える事から「舞う」。
朝顔は「しぼむ」。
花が枯れゆく表現は他にもまだまだある。
私自身、自宅でお花を飾る時は
完全に枯れるまでお花を愛でていて
お花が朽ちていく美しさは
フレッシュで華やかな雰囲気とは
また違い得も言われぬ情緒があり
花を終焉まで楽しめると言うのは
心に余裕がなければ出来ない事だと言う事も分かる。
風水では枯れたお花を自宅に置いていると
運気が下がると言うらしいけど
朽ちていく美しさを愛でれる心があれば
そんなことは瑣末な事だと私は思う。
今までお花が少しでも枯れたら
飾るのを止めていた方は
朽ちていく美しさを一度愛でられる事をおすすめします。
より一層、お花が好きになると思いますよ。